Laser
レーザーとは
 レーザー(Laser)級というヨットは、カナダのオリンピックセイラーのイアン・ブルース、世界的なセイル(帆)メーカーのハンス・フォッグ、ヨッティング・ジャーナリストのブルース・カービーの3氏により開発された。あるヨットレースの後で、ヨット談義に話しを咲かせているうちに、誰とはなしに、「最近のヨットレースはお金がかかり過ぎる傾向にあるので、安く、性能が良く、レースにもレクリエーションにも適した艇を作らなければ、世界中のヨットはどんどん高嶺の花になってしまうのではないか?」という心配をし始めた・・・・・・。その後、何回かのブレーン・ストーミングの後、アイディアとしてされてきたのが、艇体はもとより、それにに使用するマスト、セイル等全てを均一化したクラスを作ることになった。
 その結果、全長4.23m、巾1.37mで2本つなぎマストを使用してレーザーが誕生したのです。そして、このクラスのルールでは”君のセイルはどこのだから速い、マストがどうだから・・・・・・なんだ”というブルジョア的なヨット感を味わうことなくして、誰もが、艇の性能ではなしに”腕前”とほんの少しの”幸運さ”を競うレースを楽しめるのです。
 こういったユニークな発想のセーリング・ボートと1,000ドル程度の低廉さとがあいまってか、カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージランドと、最初の2年間で1万隻以上のレーザーが普及しました。各ヨット協会も、個人選手権のレースを行うのに適切なクラスとして、1972年米国インターカレッジ・シングルハンド選手権、NAYRUシニア・シングルハンド選手権などと、レーザー級を使用してレースが行われています。
 製造は現在では、イギリス、アメリカ、オーストラリア、チリ、そして日本の工場から全く同型、同量の艇が、その合計で日産約50隻が生産されている。それらの工場は、艇体成形の元となるモールド類はもとより、各種のジグまでが統一され、製造のノウハウとコントロール、協会活動まで、世界的に均一化されています。
 そして、世界中に幅広く普及したレース艇として、1974年IYRU(国際ヨット連盟)により国際クラスとして認められ、各国、各地域の選手権レースをはじめとして、オリンピック競技種目としても採用されています。また、1975年にはセイルをひと回り小さくしたリグ(ラジアル)が認可され、各国ユース、女子、マスターズ等軽量セイラー向けに幅広く普及している。2001年7月現在、173,000隻が世界中のレースに、ウィークエンド・セイリング活用されている。

[Bruce Kirby] 船型およびセイルプランのデザインを担当。小型艇のデザイナーとして知られ、また、Yacht Racingというアメリカのヨット専門誌の編集長としても有名。スター級オリンピック選手。
[Ian Bruce] インダストリアル・デザイナーとして総合的なプランに参加。レーザーの生みの親であるPerformance sailcraftの社長でもある。インターナショナル14やスター級での活躍が知られている。スター級オリンピック選手。
[Hans Fog] エルブストローム・セイル(カナダ)のマネージャーで、セイルのデザインを担当。世界中のレーザーに均一なセイルを供給している。FD級オリンピック選手。

 この3名のチームが何度ものブレーン・ストーミングやテスト・セイリングを重ねた結果、今までの小型ディンギーの枠から脱皮した新しい”レーシング・ディンギーとしても使える入門艇”が開発された。
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